絵本の世界と魔法の宝玉! Second Season

□ルプスルンの猛威!
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 巻き上がる土埃に身を隠し、みゆきがニコの救出に向かう。

 視界が奪われたとは言え、それをルプスルンが見逃すはずもなかった。

ルプスルン「行かせるかぁ!!」

 だが逆に、そんなルプスルンを止めない者などいるはずがなかった。

 瞬く間に土埃が晴れると同時、ルプスルンの行く手を遮るように炎の壁が立ちはだかる。

ルプスルン「……ッ」

日野あかね「どこ行く気やねんッ。あんたの相手はウチやッ!」

魔王「覚悟しろ、ルプスルン。ただで済むとは思わないことだッ」

 ルプスルンの前に、あかねと魔王が立ち塞がった。

 その展開に、ルプスルンは一瞬だけ歯を軋らせたものの、すぐに不敵な笑みを浮かべる。







 その一方で、アクアーニはその手に握っていた金棒を取り落とした。

 バチバチと雷が唸りを上げ、アクアーニの金棒に感電してきたのである。

アクアーニ「……ッ…」

黄瀬やよい「みゆきちゃんのところには、絶対に行かせない!」

森山しずく「ここで食い止めます…ッ、勝負!」

 取り落とした金棒を再び拾い上げ、アクアーニは自らの前に立った二人の少女を黙って見据えて対峙した。







 みゆきを追おうとしたルプスルンとアクアーニに対して、マホローグは一歩も動いていない。

 彼の目的は……というより標的は、ここに来る前から決めていた。

マホローグ「目暗ましは使えど、逃げも隠れもしないのか」

青木れいか「プライドの高いあなたのことです。以前のリベンジを謀って、わたしを狙ってくることは見え透いていました」

マホローグ「ウヒヒヒ……なるほど。なかなか面白いことを言ってくれる……」

 七色ヶ丘中学の校舎内にて、マホローグはれいかを相手に無様に敗北した。

 今までの戦いでマホローグの性格を理解しているれいかだからこそ、マホローグは自分を狙ってくることを確信していた。

 デッドエンド・バロンの今回の目的は、宝玉を探し出して破壊することではない。

 既に取り込まれた宝玉を狙って、それを破壊すること。

 取り込んでいる者ならば誰でも構わない状況で、マホローグがれいかを狙ってこないわけがなかった。







 星を見に訪れていた人々が避難していく。

 その誘導を行っていた伊勢崎だったが、こうしている今も気が気ではない。

伊勢崎青葉「(きっと、またあの子たちの周りで何かがあったに違いないわッ)」

 現に、避難していく人々の中にみゆきたちの姿はない。

 これが怪事件に関わることなのか、まったく別の事件なのか。

 どちらにせよ、伊勢崎は接触する以外の選択を持ち合わせていない。

杉野辺春香「伊勢崎さん! もうすぐ全員が避難できるよッ。早く逃げなくちゃ……ッ」

伊勢崎青葉「ごめんなさい。状況を確認できない以上、この場は離れられないわッ」

杉野辺春香「あ! 伊勢崎さんッ!」

 共に避難しようと呼びかけてくれた春香を振り切り、伊勢崎は今も騒ぎが続く戦場に向かう。

 その道中で、みゆきのフォローに向かおうとしていた天願と桜野を見つけた。

伊勢崎青葉「……ッ! あなたたちッ」

天願朝陽「へ?」

桜野準一「って、あれ? 確か修学旅行ん時の……」

伊勢崎青葉「こんなところで何をしているのッ。何があったのッ?」

 それは天願たちのセリフでもあるのだが、この状況で構ってなどいられない。

 天願と桜野は、絵本の世界や宝玉の件を除いて簡潔に事態を説明した。

 修学旅行中にも出くわした怪物が襲いかかってきて、友達が危険な目に遭っている。

 簡単に言ってしまえば、そんな感じで説明を終えた。

伊勢崎青葉「……とりあえず分かったわ。それじゃあ、まずは拐われた子の安全を確認しに行きましょう」

天願朝陽「はいッ」

 あまり関係ない人間を巻き込むことは避けたかったが、ここまで首を突っ込まれて追い返すわけにもいかない。

 それに天願たちは子供だ。

 まだ中学生の天願たちを、大人の伊勢崎が見放すはずがなかった。

 と、その時だ。

桜野準一「……ッ!! 危ないッ、何か降ってくるで!!」

伊勢崎青葉「えッ」

天願朝陽「うわっとととッ!!!!」

 そして一般人といえども、みゆきとニコの援護に向かおうとする者たちを、デッドエンド・バロンは逃がしはしなかった。

笹アカンベェ「アカンベェ〜!」

伊勢崎青葉「な……ぁ…ッ、は…!?」

 間近で初めてアカンベェを見た伊勢崎は、頭上に目一杯の疑問符を浮かべて困惑する。

 それに対して、既にアカンベェを見た経験がある天願と桜野は落ち着いていた。

 落ち着いた上で、戸惑っていた。

天願朝陽「あー……ははは…、やっぱりそう上手く通してはくれないか……」

桜野準一「さて…どないしよ……」

 今の彼らに、武器になるような得物は手元にない。







 あかねと魔王がルプスルンと対峙。

 やよいとしずくがアクアーニと対峙。

 れいかがマホローグと対峙。

 伊勢崎と天願と桜野がアカンベェと対峙。

 そして、みゆきはニコの救出に向かって走っていた。

 その光景を、空中に浮かぶニカスターが笑みを浮かべて見下ろしていた。

ニカスター「ニィッフフフ♪ 互いの役割を認識して助け合うとは、美しい友情ですねぇ〜」

 まだニカスターは動かない。

 自分が戦場に立つべきタイミングを見計らって、まだ今は傍観する立場を継続していた。

ニカスター「さぁ、三幹部のみなさ〜ん! 宝玉の破壊を目指して、頑張ってくださ〜い! ニィッフフフフフ♪」
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