迷夢録『うつろ』
□第二話
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「おいで」
その日も夜、松陽がいつものように私を布団に招き入れようとしました
「いいです」
私がきっぱりと断ったのを松陽は驚いたらようでした
「はは…、参りましたね。嫌われてしまいましたか」
「ちがいます!」
「わかっています、冗談ですよ」
松陽の茶化しに全力で否定すると、彼は楽しそうに笑いました
「そうですね、一人で寝てみますか」
「…はい」
「無理はしてはいけませんよ」
松陽が本当に心配してくれているのがわかりました。はじめて私は、彼が本当に"先生"なんだなと思いました