迷夢録『うつろ』
□第十四話
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「やだ、晋助ってばなにを謝ってるの。」
「こんなことに慣れさせちまったこと」
「…晋助のせいじゃないし、私は望んできたことよ」
晋助は私の瞳をじっとみつめてきました。私も負けじとにらみ返しました。
「七瀬、おめーはまだ俺ほど汚れちゃいめー。ならそのままでいてくれ」
「なによそれ…。私のこと美化しすぎだよ、晋助。」
「んなことねぇよ。俺は、もう…」
晋助が目を伏せたのをみて、私は少し心が揺らぎかけました。私はそれに負けないようにたたみかけました。
「晋助がもし私を綺麗だと思ってるのなら、私は晋助と同じくらい汚れたいの!」