迷夢録『うつろ』
□第二十話
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「ガキ…そろそろいい加減にしねェとぶっ殺すぞ…」
「ちょっと晋助、そんなにきれなくても…」
私がなだめると、惣一郎くんは逆に調子に乗ったような口をききます。いつものように。
「やーいやーい、晋助、全然余裕ねーでやんのー!」
すると、晋助から殺気がわいて出ます。いつものように
「どうして俺は呼び捨てなんだ…?」
「だって七瀬姉ちゃんがそう呼ぶんだも〜ん。『晋助ェ❤』、って。」
惣一郎くんが私の真似をしたので、私は真っ赤に染まりました。晋助の耳も異様に赤かったです。
「ね、別にいいでしょ?俺が『晋助ェ❤』って呼んだってさぁ」
晋助ェ、晋助ェ❤
甘えた口調でそう言う惣一郎くんに晋助は「うるっせぇぞ!」とシャウトしました。