-ミテイミライ-
□#5 未来の有無
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それから、伊織と信楽は、伊織の学校が終わると公園で話をするようになった
「ごめんなさい、今日は少し遅くて」
「いいよ、どうせ暇なんだから」
伊織は信楽を慕っていた。
だから、この一週間彼と会話できることはとても幸せだった。
可愛がってくれる、父のような存在。
「にしても、嬢ちゃん、友達と遊ばなくていいのかい?」
「え?」
「毎日おじさんの相手しなくてもいいんだぜ。」
…。
そんなふうに、言われても。
「私、友達…いないし」
信楽が黙った。
そうだよね。引くよね。
「私ね、つい最近越してきたばっかだって言ったでしょ?こんな変な時期だし…もう、クラスはグループ別れててさ。」
ああ、絶対、信楽さんに嫌われた。
こんなみっともない子だなんて、知られたくなかった。
「伊織ちゃんは、転校してきてから誰かに話しかけたかい?」
「あ、あんまり…」
「じゃあ、がんばらなきゃな」
「でも…」
ぽんっ、と頭を撫でられる。
「大丈夫だ、とりあえず一回挑戦して、ダメだったら、おじさんが慰めてあげるからさ」
「うん!」
がんばってみよう。やってみよう。おじさんのために。