-ミテイミライ-
□#12 不幸の主
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「あっれー、信楽じゃねぇか」「久しぶりだなぁ、オイ」
「おー、懐かしいなぁ」
信楽は、ニカッと笑ってかつての友人に挨拶をした。
今日は妖怪の老人会に来ている。
「おまえ、最近賭博場にも顔出さねぇもんな。どうしたよ」
「んー、まあ、いろいろと忙しくてな」
信楽は言葉を濁らせた。
「あ、俺知ってるぜ!こいつ、伊織ちゃんと結婚したんだ」
「ばか、狐っ」
その場にいた狐が本当のことを話してしまう
「いいじゃねえか、良い話なんだしさ!」
狐のやつ。口が軽すぎるぞ。
「へぇ、伊織ちゃん?初めて聞く名前だなぁ、なんの妖だ?」
案の定、同席していた友人が込み入った話をしてきた。
「そ、それは…」
そこでようやく、狐は口ごもった。
軽々しく言ってはマズイことにようやく気づいたのだ。