迷夢録『うつろ』
□第零話
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私にはなにもありませんでした。
救ってくれたのは彼でした。
いいえ、彼などと呼ぶのもおこがましいですね。やはり、先生と呼ぶのが一番しっくりきます。それほどまでに、私は先生を尊敬しています。
先生は人望の厚い人でした。
私だけではなく、晋助も、銀時も、小太郎も…他の松下村塾の門下生全員が慕っていました
私たちに生きる道を与えてくれたのは彼です。私たちの生きる指標となったのは彼です。
大好きでした。もっともっと一緒にいたかったです。
ですが、死してなお私や皆の進まんとする先にある先生の影に安心しながら
私は先生にジェラシーを感じました。