迷夢録『うつろ』
□第二話
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しゃべることのできない私を松陽は丁寧に介抱してくれました
「あーっ、ずりー!俺も黒蜜たべたい」
数日間断食生活を行っていたため急には普通の食事ができない私に松陽は黒蜜を飲ませてくれました
その度に男の子のうち一人がいつも口をとがらせました。それが銀時でした。
「おい、やめろ。七瀬のためのものだぞ」
そうやって真面目に口をはさむのは、小太郎。
「…」
そして、最後の一人。
彼はムスッとした表情で常ににらみつけてきて、とても怖かったです。しかし彼こそが私が今後一生をともにする相手になるとはこのころは思いもしませんでした。
このころの私にとって、晋助は恐怖の対象でした。