迷夢録『うつろ』
□第六話
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その日はすごく珍しい日でした。だから、とてもよくおぼえています。
「うぁぁぁあっ、うぁぁあん!」
いつもの四人で泣いていました。銀時と小太郎と晋助と、いつもなら決して気など合わないのに、いがみあってばかりなのに、この日は皆して泣いていました。
「なんで…なんで先生がっ!」
忘れもしません、松陽先生が連れ去られた時のことでした。
「銀時ィっ…!お前、一緒にいたんだろ!なんで抵抗しなかったんだよ!」
晋助が銀時につかみかかったのを、私は必死にとめました
「だめ!だめ…辛いのは、皆一緒…」
「そうだぞ、そんなことをしたって何にもなりはしない…」
小太郎はぐ、と涙をこらえた鼻声で力強く言いました
「皆で生きていこう…。いまは何もできなくとも、行動できる大人になるために」