迷夢録『うつろ』

□第十一話
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「七瀬」


晋助の声が聞こえた気がしました。


「ん…」


「目、覚めたか」


「うん」


私はいつもの自室の布団の中にいました。晋助の瞳が心配そうにじっとこちらを見つめています。


「晋助」


「…」


「わたし、やっぱり向かないのかな、こういうの」


「ああ」


あっさり肯定されて、少しショックでした。

わたしが今負っているけがは晋助によるものです。晋助が、私を戦場に行かせないために私を斬ったのです。
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