迷夢録『うつろ』
□番外編
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「ぐぁぁぁあああっ」
叫びながら、化け物の体が地に落ちる。
ーーーヒュン…カチャリ
「ふう」
刃をふって血を落とし、鞘におさめる。俺が振り替えると、六郎は驚いたような表情をしていた。放心した様子で呟く。
「俺、もうさすがに死んだかと思ったわ…」
「あたりめーだ。俺が助けてやらなきゃ死んでいただろうよ」
「…ありがとうな。高杉、お前案外良いやつだよな」
六郎がニカッと笑いかけてきた。俺はイラッとした。そうでもねぇよ、俺は嫌な奴の部類だ。
だって、お前を思って助けてやったわけじゃない。