迷夢録『うつろ』

□第十四話
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六郎が死んで、晋助は以前より私を気遣うようになっていました。もうすっかり以前のような関係性に戻っていました。

少しずつ敵味方両方の間で有名になりつつあった晋助たちは、長いこと陣営として利用しお世話になった寺院を出て、より激戦区へ応援に出ることになりました。


「晋助。私と勝負してくれないかな?」


「…あ?」


「私も戦にでたいの。リトライしたいの。だめ?」


晋助のにらみに、他の女の子ならきっと怖がるでしょう。でも私はもう慣れっこでしたから、強く要求しました。


「…おめー、今の戦況わかってんのか」


「わかってるよ」


当初五分五分なようにも見えたこの攘夷戦争、今ではもう幕府軍が圧倒的な勢力を誇り、私たちに勝ち目はありませんでした。いつのまにか敵は天人から同じ仲間であるはずの人間にかわり…私たちは人の醜さを知りました。
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