私は何の子
□#2 自分探し、始めました
1ページ/6ページ
<自分探しの旅に出るわ。女を磨いて、それで、きっとあの人を振り向かせて見せる>
一昔前のドラマがうらやましい。
ああ、いってくればいいとも。
旅に出て、自分が見つかるって言うならね!
「うわぁぁぁっ、わからん!」
私の探す自分は、残念ながら旅に出たってみつからない。
だって、私の中にあるんだもん。
「異形の正体、かぁ…」
夕暮れにおこる身の以上は、市松家にきてもやっぱりおこった。
でも、ここにはそれを抑えてくれる人がいる。
けどやっぱり、長いこと迷惑をかける訳にはいかない。
「どうしたらいいのかなぁ」
「とりあえず、妖怪化してみたらいいんじゃないか?」
うわっ、びっくりした。
振り替えると、こっくりさんがたっていた。
「形が保てなくなれば俺が止めてやるし、もしかしたら、案外ぽんっと変化できるかもしれないぞ」
当たって砕けろ的な。
こっくりさんのさわやかな笑顔がこわい。
「えええ、でも、ちょっとこわい…」
妖怪化して、理性を保てなくなるのがこわい。
元に戻れなくなるのがこわい。
現に、形が保てなくなるとき、私は自分を制御できない。
「…けど、それしかないのかな」
私は、よしっ、と呟いた。
他に手がかりはない。
やってみよう。
「こっくりさん、私、やってみます!
こわいから、そこにいてくださいね?絶対ですよ?」
「わかったわかった」
こっくりさんは、私の真正面で立ち止まった。
スタンバイ、OK。
こっくりさんと目配せして、勇気をだす。
もう、やっぱやめます、とは言えない。
ーーーーーさぁ!いくぞ!