私は何の子
□#10 大切なヒト
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「おい、狐」
いきなり、後ろから首に腕をまわされ、絞められる
「うおおおっ!しまる!首しまっちゃううう」
俺は必死で抵抗し、なんとかその腕から逃れた
「なんだよ、信楽!殺す気か!!!」
「お前さ、ちょいと気を付けろよ」
「はあ?!何をだよ」
「りこちゃんのことだ」
またその話か
「嫁入り前の娘の部屋で一晩すごすのは、どうかと思うぜ」
えええっ、知ってたのか…!
「な…、あれは、りこが夜中に形が保てなくなるから…」
「わかってる。だが、事情を知らないやつは騒ぐぞ。
そしたら、りこの名誉が傷つくんだ」
実をいうと、りこが隠したがっている夜中の妖怪化は、こひなも知っている
彼女の苦しむ声は、響く。
「大丈夫だよ、うちの家で騒ぐやつなんていないし」
「狗神だ」
「あ…。」
そうか。
あいつ、犬小屋で寝てるから、夜に家でおこるできごとは知らないのだ。
「まあ、もうなにもしてこないとは思うけど…
そういうことには、じゅうぶん気を使わなきゃだめだぜ」