たからばこ
□おせち
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「よーし、できた」
「うん!すごく美味しそう」
今日はおおみそか。
結愛はコックリさんのお手伝いでお重におせち料理をつめていた。
いまはちょうどその作業が終わったところである。
「やっぱ、コックリさんは料理上手だね〜!うらやましい。いまから食べたくなっちゃうよ」
「いやいや、結愛が綺麗につめてくれたおかげだよ」
「えへへ、そうかな…」
コックリさんはいとおしげに結愛をなでると、すぐ次の仕事に向かった
「さぁて、大掃除しようか!」
内心、結愛はガッカリしていた。
「はぁーい」
そう返事をしてオカンな彼氏に付き合いながら、ガッカリしている。
せっかくのお休みなのに、家事好きな彼はゆっくり結愛の相手をしてくれない。
口をとがらせていたら、コックリさんにまた頭をなでられた。
「そんな顔をするなよ。新年を迎えるにあたって、大切な行事の1つなんだから」
なんだ、わかってたのか
「わかってる、けど…」
とがらせた唇をつままれた。
「こうやって新年のために色々するのは、結愛のためでもあるんだけどなあ」
「え?」
「おせちは朝御飯とか作らなくてもよくしてくれるし、大掃除はちょっとの間掃除サボってもよくしてくれる…
新年くらい、ゆっくりするためだよ」
「コックリさん…」
「さ、どうせ俺がいつもピカピカにしてるからな、大掃除っていったってたいしてすることもねぇよ。
そしたら、新年迎えて、あとは寝正月だ
だから、あと少し、がんばろう?」
「うん!」
ちょっと踊らされてるな、と思いつつも結愛はうきうきと新年を迎える準備を始めた。