迷夢録『うつろ』
□第二話
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朝がくると、怪我人の私をおいて皆どこかへでかけていきました。
「留守を頼みますよ、七瀬」
火傷とカラスにえぐられた傷のせいでまだ動けないわたしにそう告げる松陽に、私は問いかけました
「みんなでなにをしているの?」
「私はね、寺子屋で勉学や武道を教えているんですよ」
「わたしも、いきたいです」
口をとがらせると、松陽は優しく私の頭を撫でました。
「そう言ってくれてよかった。あなたの怪我がなおったら一緒にいきましょう」
「はいっ」
私が声をあげると、松陽とこどもたちがでていってしまいました。やっぱり寂しいなと思いました。
「おい」
ある日、そのうちの一人が、戻ってきました。それが晋助でした。