迷夢録『うつろ』

□第五話
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翌日から、わたしは晋助に積極的に話しかけました。彼は私の相手をあまりしたがりませんでした。それでも話しかけたのは、彼がヒトカゲさんだとわかっていたからだと思います。

だんだん彼のことがわかるようになってきました。いままで睨まれていると私が思っていたのは誤解だったこと。彼は私をそれなりに心配してじっと見つめていたらしかったのです。

彼の不器用さが私は好きでした。

彼のそんな不器用さを知っている自分に優越感を抱きました。


「ねえ、晋助!おだんごは好き?」


「…嫌いじゃねぇ」


「じゃあ、あげる!」


私がにこやかにお団子をあげると、晋助は微妙な表情でうけとりました。


「…泥団子じゃねぇか…」


そうやって文句を言いつつ、小さな声でありがとうと言ったのを、私は聞き漏らしませんでした
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