迷夢録『うつろ』
□第六話
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そんな小太郎の言葉、いまでも心に残っています。私たちはこの言葉を、約束を、必死に守って生きてきました。
日々鍛練し、努力し…すべては松陽先生を助けるために。自分の思う立派な侍になるために。
そして年月は流れました。
「待って…っ、待ちなさいよっ」
ある早朝、まだ夜も明けきっていないころ。私は忍び足で家を出ていこうとした銀時、小太郎、晋助をどなりつけました。
「ちっ…寝てたんじゃなかったのかよ」
晋助が舌打ちすると、銀時は険しい顔をして、小太郎は困ったような表情をしていました。
「なんで私をおいていこうとしたのよ…っ」
「それは…」
問い詰めると、銀時がくちごもりました。私はその答えを、本当は知っていました。