迷夢録『うつろ』
□第七話
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「とりあえず今日のところはお部屋にご案内します。こちらへ」
少女は私達を案内しながら、その瞳は私たちのうちただ一人を見つめていました。
「?…晋助がどうかしましたか、目付きが怖かったですか?」
その視線をただ不思議に思って私が問いかけると、少女は少しほほを染めたような気がしました。私にだけ聞こえるように小声で呟きました。
「いえ、あの…とても男らしくて素敵な方ですね」
「かっこいいということですか!?」
つい声が大きくなってしまいそうでした。
「ええ、まあ」
少女は困ったような笑みをすると、案内に戻りました。