迷夢録『うつろ』
□第十四話
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「私ね、もう戦争になれちゃったよ。だから、晋助と一緒に戦いたいの」
もう一度強く言うと、晋助はため息をついたようでした。
「たしかに…七瀬はもう慣れたよな。」
仲間たちの血に濡れた鎧や着物を洗うのも私の仕事でした。それには肉片がこびりついていることもしょっちゅうで、はじめのうち私は何度も泣きました。
「私、もうなかないよ」
戦争に参加したてのころは眠れない夜を過ごして何度も何度もヒトカゲさんに頼ってしまったけれど、このときにはもうそんなこともありません。
「悪いな、おめーまで汚しちまった」
晋助は何を思ったのか、唐突に謝ってきました。