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□湯船にて君悩む
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カノンは風呂に入っていた。

先日付けられたミロの痕はもう殆ど目立たない。
ホッとするような残念なような…不思議な気持ちだ。

明日からまた海界へ行く。

ポセイドンは時折ソレントを通じて何かしら言ってくるが、基本的には寝るのが好きらしくカノンを自由にしてくれている。
いや…カノンが開けた穴が塞がるまでカノンをシードラゴンとして利用するだけなのかもしれない。

誰か本当にオレを必要としているの奴はいるのだろうか。
小さな疑問は大きな不安となる。

今の兄にはロスが居る。

執務引き継ぎに忙しくしているが…何より、ロスの補佐という立場に満足しているのがよくわかる。

オレは、居ても良いだけで必要とはされていない。

他の聖闘士たちも、サガの弟で、ジェミニにもなれるから居ることを容認しているだけだろう。

ではミロは…?
単に世話好きなお人好しで、オレの出入りを許しているだけなのかもしれない。
ひょっとしたら、オレはそれほどよくなかったのかもしれない。
あれ以来特に手は出されていないのだ。

オレは…気持ちよかったのだがな

襲って欲しくないと言えば嘘になる。
頼めば抱いてくれるのだろう…だが、自分から言ったので
は本心がわからない。
ミロと自分を繋いでいた痕はかすれ、記憶のみ鮮明に浮かび上がる。

泣きたい程にミロが恋しい。
あの髪を掴み引き寄せ、愛してくれと叫びたい。


カノンは感情を押し込めるように湯船にぶくぶくと沈んだ。
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