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□Desire another side
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今更ながら彼の言っていたことが理解できる
お前は何も失わない。
腕の中で笑いながら彼はそう言ったのだ。
双子の考えをミロ以上に理解できる唯一の存在…サガの別の人格…
だから整理しておけと言っただろう?
耳に息がかかるほど近くにそんな言葉を掛けられた気がしてミロは眼を開く。
顔を擦りよせ横で眠るのは黒ではなくサガで、抱き枕にでもしがみつくように腕を絡めているのはカノンである。
黒の存在は微塵も感じられない。
ミロは左右で寝息をたてる二人の肩をそうっと抱きなおし眼を閉じた。



「俺にもカノンや私の気持ちがわかったぞ」
艶やかな黒髪を揺らすと豪奢な金髪を掴み口付ける。
「…」
ミロは特に抵抗せずにそれを受け入れた。
「悪くない」
数回軽く唇を合わせれば、くつくつと笑いながら離れる。
「誘っているのか?」
覗き込む紅い瞳はなれぬ者が見たら恐怖に苛まれるか、魅了されそうなほどに妖しく美しい。
「惑わされてくれるのであれば嬉しいな…」
黒髪ゆえに肌の白が際立ち透けるような白金のサガにはない鮮烈な印象を覚える。
「カノンはどうするのだ?」
「お前こそどうなのだ」
問いには問いを。
「フッ…知っていて言ってるのだろう?最
近のあいつを」
どうだかなと笑う。
「お前とて同じ筈だ。求められれば応えるが…」
「お喋りが過ぎるな」
今度は頬に手を添えて深く口付けて言葉を塞ぎ、自らがミロの下になるようにその身体を引き上げる。
「…」
肩を竦めてその瞳を覗けば本気だと眼が笑う。
一度はなれると今度はミロの方から唇を合わせにいく。
「確かにそうみたいだな」
相手の体温と鼓動が偽りなどないのだと伝えている。
見慣れた法衣をたくしあげ胸の突起に舌を這わせばくすぐったいと身を捩る。
「結構恥ずかしいものなのだな…抱かれるというのは」
「言うな、俺まで恥ずかしくなる」
「微塵も思ってはおるまい?」
「さあ…な…」
「…ッあ…」
ミロが触れた箇所がじんわりと疼き自分自身の知らない声が口からこぼれる。
「恥ずかしいからとサガとは代わるなよ?」
耳を甘く噛みながら囁けば
「要ら…ぬ…心配…だ」
繕った余裕に口元を歪めて律儀に返事をかえしてくる。
「なら構わんな」
意地の悪い笑みを浮かべると、ミロは双子座の星命点に口付けながら蠍の星命点を指先で辿りはじめた。
「…フッ…」
「笑うなよ」
「イヤ…慈しまれているようで中々イイものだ」
首にすがりつきながら小さ
く呟く姿に思わず吹き出しかける。
「お前の顔で言うなよ…萎えるだろ」
「フハハ…私とかわろうか?」
心底楽しげに言葉が返された。
「止めてくれ」
「逞しそうだが、コレが萎えるのか…」
にやつきながら硬度を増したミロを撫で上げてくる。
「二度と抱かん」
言い捨てれば
「安心しろ、二度と抱けん」
と真面目な顔で返された。
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