読み物

□鈴木くんと七瀬くん
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近づきたかった。近付いて、仲良くなりたかった。それでいつか、そういう関係になれたらとか思ったみたりもしてた。だけど、俺と七瀬の初の絡みは失敗した。上手くいかなかった。泣かせてしまった。泣かせるつもりなんてなかったのに……



───教室に入るなり、皆がこちらを振り返る。しかしそれも一瞬で、俺が誰か分かると、視線は直ぐに前に戻された。

「おい鈴木。入学したばかりにも関わらず毎日のように遅刻とは、いい度胸をしているじゃないか。」

朝からうるさい。俺がこうやって遅刻する度に、毎日毎時間、どいつもこいつもどこから生まれてくるんだと思うほどに嫌味を投げかけてくる。この俺が学校に来るだけでも光栄なことだと思え。中学の時なんざ、ほとんど学校来てねえよ。

「あ?うるせえな。」

睨みを効かせて嫌味に答える。担任が少し怯んだ。声を震わせ、焦りを見せながら、それでもまだ足りないようにいつもと同じ嫌味を言ってくる。

「そ、そんなだらしない態度を見せ続けていて、社会に出た時に恥をかくのはお前だからな。」

せっかく授業が始まる前に来たというのに、こいつのせいでやる気をなくした。舌打ちを残して、今しがた着いたばかりの席から立ち上がり教室を出ていく。呼び止めるような声が聞こえた気がするが無視だ。今日は天気がいいから、屋上でひと眠りすることにしようか。
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