太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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時真雪華がボーダーに入隊したのは4年半前、三門市が近界民に侵攻された日から、約一ヶ月後のことだった。
両親が近界民に殺され、救助に来たボーダー隊員も殺され、雪華自身も殺されそうになったとき、辛うじてまだ息があったボーダー隊員にトリガーの使い方を指示され、無我夢中で近界民に斬りかかった。
その後、増援として到着したボーダー隊員によって雪華は保護された。
その時に来たボーダー隊員が、迅悠一と太刀川慶だった。
自宅が全壊してしまい、帰る家すらも失った雪華を迅は一時的に玉狛支部で預かる事にした。
その日から半月程はずっと立ち直れずに、与えられた自室に引き篭っていた。
ー度に家族と家を失い、更には自分を助けに来てくれた隊員までもが目の前で殺されたことがあまりにもショックで、雪華は涙を流すことすらできないほどに精神的にとても深い傷を負った。
そして、そんなある日のこと。
雪華の様子を見に来た太刀川に、ボーダーに入らないか、と誘われた。
ろくに食事もせずにただ衰弱していく雪華を見かねて、太刀川なりの気遣いで誘ったのだろう。
「お前には、剣を扱う素質がある。稽古をつければ、きっとトップレベルの攻撃手になれるだろう」
太刀川は雪華にそう言って、孤月のトリガーホルダーをひとつ渡した。
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