太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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『時真緊急脱出。勝者 太刀川』


対戦ブースに転送された雪華は、やはり失敗してしまった最後の一撃を思い出していた。
「……また、成功しなかった」
今度こそ成功できると思った。
何より、確信じみた直感でそう思ったから。
(………どうして成功しないの…?まだ私の力が足りない?それとも、やっぱりあの攻撃は実現することはできないの?)
最後は恐らく場数を踏んでいないという経験の差が出てしまったのだろう。
結局、最後の一本を勝ち取ることはできなかった。
「ふぅ……」
それでも、雪華はいい経験になったと感じた。
自分よりも強い相手と戦うのは、こんなにも楽しいものなのだと強く感じた。
この気持ちは、迅との稽古でも時々感じていたことだが、今回の太刀川との5本勝負は純粋に戦っていたからかずっと楽しかった。
「…と、部屋出なきゃ」
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「雪華、俺の隊に来る気はないか?」
「へ?」
「いや、だからーー」
「太刀川さんストップ。雪華はうち(玉狛)の隊員だよ。勝手に奪おうとしないでよ」
「いいじゃねぇか」
「よくない」
「あ、あの……?」
対戦ブースを出て迅と太刀川に合流すると、何時の間にか多くのギャラリーが集まっていたことに驚いた。
なんとも言えない視線にたじろいだ雪華を気遣い、迅は雪華と太刀川を人気のないところへ移動させた。
今は、飲み物を飲んで一息ついているところなのだが……。
「雪華はどうなんだ?」
「えっ?わ、私ですか!?」
「そう!雪華自身はどう思う?」
「雪華、今の自分に忠実に答えていいぞ!玉狛支部がいいってな!」
「迅は黙ってろよ!」
「わ、私は……」
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