太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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玉狛にいる黒トリガーを捕獲すべく、玉狛支部へと向かう太刀川隊、冬島隊(当麻)、風間隊、三輪隊一行。
しかし、サイドエフェクトで先読みしていたのであろう迅悠一が立ちはだかる。
「うおっ 迅さんじゃん。なんで?」
「よう当麻。冬島さんはどうした?」
「うちの隊長は"船酔い"でダウンしてるよ」
「余計なことをしゃべるな当麻」
(迅さん…)
一瞬、雪華は迅と目が合った気がしたが迅の視線は太刀川に移っていた。
「こんな所で待ち構えてたってことは、俺たちの目的もわかってるわけだな」
「"うちの隊員"にちょっかい出しに来たんだろ?最近玉狛(うち)の後輩たちはかなりいい感じだからジャマしないでほしいんだけど」
「そりゃ無理だ……と言ったら?」
「その場合は仕方ない。実力派エリートとしてかわいい後輩を守んなきゃいけないな。……例え、かわいい弟子と対峙することになっても」
そう言って若干目を細めた迅に、雪華はビクりと反応し、太刀川の影に隠れるように一歩後ずさった。
太刀川はそんな雪華を一瞥し、太刀川自身も雪華が自分の背に隠れるようにした。
「なんだ迅、いつになくやる気だな」
「おいおいどーなってんだ?迅さんと戦う流れ?」
「『模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる』隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟はあるんだろうな?迅」
隊務規定を持ち出した風間に、迅は玉狛の後輩も立派なボーダー隊員だと返した。
「あんたらがやろうとしていることもルール違反だろ。風間さん」
しかし、そこへ三輪が意見した。
「「立派なボーダー隊員」だと……!?ふざけるな!近界民を匿ってるだけだろうが!!」
「近界民を入隊させちゃダメっていうルールはない。正式な手続きで入隊した正真正銘のボーダー隊員だ。誰にも文句は言わせないよ」
(迅さん…、どうしてそこまで……)
雪華の心に、一抹の不安が過ぎる。
恐らく、このまま行けば確実に迅と戦闘することになるだろう。そうなった場合、S級隊員である迅にこのメンバーで勝てる確率はどのくらいだろうか。
なにより、待ち構えてたということはサイドエフェクトで事前に視たはずだ。少なくとも「風刃」を持ってきている可能性が高い。
「なん……」
「いや。迅、お前の後輩はまだ正式な隊員じゃないぞ」
太刀川の言葉に、いち早く雪華がその意味に気付き、呟くように口にしていた。
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