太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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迅&嵐山隊と戦うことになった太刀川達。
激しい攻防が繰り広げられる中、雪華の心には迷いが生じていた。
迅が忍田本部長と手を組み、嵐山隊を仲間に引き入れてまで黒トリガーを持つ近界民を守ろうとしている。未来視のサイドエフェクトをもつ彼が、ここまでして本部から近界民を守ろうとしているのには何か訳があるのではないか…、もしそうなら、迅にその訳を聞いて場合によっては引くべきなのではないのか。しかし、雪華は太刀川隊なのだから本部の命令に従うのが道理である。現に、太刀川はこの場を突破するために迅に斬りかかっている。
迅は意味の無いことはせず、その行動には意味があるはず。でも本部からは玉狛が匿っている近界民の黒トリガーを回収するように命令されている。
このような迷いがあるため、なかなか攻撃に転じることが出来ずにいる。
そんな雪華の心境を察してか、太刀川は雪華に攻撃が届かぬように気をつけながら攻撃を繰り出していた。
「4人まとまってるとなかなか殺しきれないな」
「しかも迅はまだ「風刃」を1発も撃っていない。トリオンを温存する気だ」
「嵐山隊の狙撃手はどこだ?こっちの動きは捕捉されてるはず……)後手後手だな……」
『風間さんこいつら無視して黒トリガー獲りにいっちゃダメなんですか?うちの隊だけでも』
「……士郎兄、玉狛にはレイジさん達がいるからここで戦力を分散させない方がいいと思う」
「そういうことだ」
『なるほど……了解』
そこへ、太刀川が出水に三輪と米屋と組んで嵐山隊を足止めするよう指示した。
「了解。でも雪華はどうします?」
俯いている雪華を一瞥し、太刀川は少しの沈黙の後、指示を出した。
「……そうだな。相手が迅だと戦いずらいだろうし、雪華も出水達の方につけるか」
「了解。雪華!」
「は、はい!」
「お前は俺達と嵐山隊の足止めだ。行くぞ」
「……はい」
雪華は太刀川を申し訳なさそうな表情を向け、一礼して出水達のあとを追った。

「よかったのか?」
去っていく雪華の背を見つめる太刀川に風間は問いかける。
「……何ことです?」
「雪華は大切な戦力だろう」
「…風間さんも知ってるでしょ。雪華は師でもある迅を"敵"として割り切ることはまだ出来ない」
「……今回ばかりはこっち側で戦力にはならない、か」
「それに、迅が相手よりは嵐山達が相手の方が戦いやすいだろうし。そう判断しただけだよ」
「そうだな…」
そして、太刀川達も迅を倒すべく動き出した。
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