太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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それから2週間後、散々悩んだ末雪華はボーダーに入隊し、戦うことを選んだ。
トリガーに慣れるまでは迅が師となり、雪華に稽古を付けることになった。
最初は感覚がうまく掴めずあたふたしていたが、3日後には既にそれなりに動けるようになっていた。
そして半年後、10本勝負で迅から3本取れる程にまで成長し、それから更に半年後経った時には4本取れるようになり、その実力は当時の迅とほぼ互角というところまで成長していた。
そうして迎えた、何度目かのボーダー正式入隊日。
この1年強、正式入隊日をずっと見送りにしていたが、やっと正式なボーダー隊員になれる日がやってきた。



それぞれの希望するポジションごとに別れ、説明を受ける。
「まずは、入隊おめでとう。今日から君たちは訓練生だ。だが、B級に昇格して正隊員にならなければ防衛任務には就けない。じゃあどうすれば正隊員にやれるのか、最初にそれを説明する。各自、自分の左手の甲を見てくれ」
指示された通りに、左手の甲を見ると ”3980”と表示されていた。
(3980…?)
「君たちが今起動させているトリガーホルダーには、各自が選んだ戦闘用トリガーがひとつだけ入っている。左手の数字は、君達がそのトリガーをどれだけ使いこなしているかを表す数字だ。その数字を『4000』まで上げること、それがB級昇格の条件だ」
(4000ってことは……、アレ?私の3980ってどうなの!?え、まさかバグとか!?)
「ほとんどの人間は1000ポイントからのスタートだが、仮入隊の間に高い素質を認められた者はポイントが上乗せされてスタートする。当然、その分即戦力としての期待がかかっている。そのつもりで励んでくれ」
”ほとんどの人間は1000ポイントからのスタート”
それを聞き、雪華は慌てて左手の甲を右手で覆った。
(こ、これってバグだよね!?いくら上乗せされるとか言っても、私がこんなに高いはずないよ!!!)
「ポイントを上げる方法は2つ。週2回の合同訓練でいい結果を残すか、ランク戦でポイントを奪い合うか。まずは訓練の方から体験してもらう。ついて来てくれ」
雪華がひとり混乱している間にも、オリエンテーションは滞りなく進んでゆき、訓練場に移動を開始してしまう。
雪華は内心かなり焦りながらも、他の訓練生と共に訓練場へ向かった。
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