太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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『ランク外対戦5本勝負 開始』
「よ、宜しくお願いします!」
「ああ」
雪華は孤月を構え、地を蹴った。
太刀川もそれに応戦する。
「ほう。太刀筋もなかなか様になってるな」
「それはどうもっ!」
雪華が一気に踏み込む。
しかし、経験の差かそれはあっさりとかわされてしまう。
「む…。かわさないで下さいよ」
「無茶言うな…!!」
ーーゾクッ
雪華は身体を捻って、下から振り上げるように斬りつけるも、太刀川は直前で避け、ある程度の間合いをとった。
(何だ?今感じたのは…。殺気……?)
太刀川が雪華の方を見ると、既に体制を整え、再び孤月を構えている。
太刀川を見据える目は真剣そのもので、しかしその目の色は血に飢えた狩人のようでもあった。
(……持久戦は避けた方が良さそうだな)
そして、互いに地を蹴った刹那ーー。
『時真緊急脱出。1-0太刀川リード』
雪華はブースに備え付けてあるベッドに転送された。
「負けるとここに転送されるのね…」
成程と思いながら、数回深呼吸した。
(太刀川さんは強い……。迅さんのライバルだっていう話も頷ける)
「……とにかく、太刀川さんにできるだけ大きな深手を負わせることを目指そう。行けそうだったら、首を取る」



「…お。顔付きが変わったな」
「……まずは1本、取らせていただきます」
「いいぜ。かかってこい」
『2本目開始』
開始の合図とともに、地を蹴る。
「!…背後か!!」
今度は避けきれず、太刀川は受身を取る。
ーーゾクッ
(!またか…。何なんだこの殺気を向けられている様な悪寒は?)
冷や汗が頬を伝う感覚がする。
目の前にいるのは、本当に時真雪華なのかと疑いたくなるような空気が広がってゆく。
「……チェックです」
雪華がそう呟き、太刀川に斬りかかった。
太刀川はその一撃をうまく受け流すが、雪華は目にも止まらぬ滑らかな動きで素早く斬り返す。
「……チェックメイト」
雪華の孤月が、太刀川の首元を一閃した。
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