太刀川隊の剣姫

□太刀川隊の剣姫
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「はぁぁぁぁぁ…………」
「うおっ!デカい溜め息だな。どうしたんだよ」
「ああ、いずみん先輩…。いや、遠征が無事に終了したのは良かったんですけど、またあの狭い遠征艇に乗らなければならないのかと思うと……」
「……雪華って本当に遠征艇嫌いだよな」
「だって……!!」
「おい、お前ら!ムダ話してないでさっさと乗れ!」
「「はーい」」
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「あ、慎次兄さん。またトラップのこと教えてくださいね!」
「おう。時間が合えばな」
「ありがとうございます!」
「お前隊長にトラップ習ってたのか!?」
「えっ!当真さん知らなかったんですか?」
「知らねぇよ!初耳だぞ」
などと、雪華を中心に騒がしくなっている船内。
遠征艇に乗り込んでから数時間が経過していた。
それから30分後には雪華が眠ってしまい、船内の騒がしさは収まった。
ちなみに、遠征前に国近が太刀川に言っていたことは達成できなかった。
そして、現在太刀川は風間と小声で話していた。
「なぁ風間さん。俺はどうしたらいいと思いますか」
「……それを俺に聞くのか」
「遠征前に国近にも言われたんですよ。今回の遠征中に言えって」
「お前らしくないな。普段のお前ならそれとなく言ってのけそうだが」
「………どうやら、雪華のこととなるとダメ男になるみたいっスね」
そう言いながら、太刀川は隣で出水の肩に凭(もた)れて静かな寝息を立てる雪華を一瞥した。
「…………でも」
視線を戻し、太刀川は続けた。
「でも、俺ちゃんとコイツに言います」
「そうか」
それ以降、二人の間に会話はなかった。
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「よっしゃー!!!!着いた!漸く我が家に帰ってきましたよ!!!!!」
「雪華うるせぇ」
「私はぁぁぁ帰ってきたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「うるせぇっつってんだろうが!聞けよ!!」
「痛っ!暴力反対ですよいずみん先輩!!」
帰ってきて早々ギャーギャー喚き出した出水と雪華に、風間の喝が飛ぶ。
二人はそれですぐに黙り、出迎えに来ていた上層部の面々に向き直った。
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