この空の下で

□親密度の距離感
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「ツナさーん!こんにちは!」

「ハル!?」


私の名前は三浦ハルです。
先日、川で溺れているところを救い出してくれたツナさんにフォーリンラブです。

「おお!死ぬ気でハルを助ける!掴まれ!」だなんてそんな台詞ドラマの中だけだと思っていましたが、その時のツナさんはとても素敵でした。輝いていました。

そして、なんと!ツナさんは私の友達の夕空ちゃんと兄妹だったのです!驚きました!そーいえば、夕空ちゃんの苗字も『沢田』さんでしたね。盲点でした。


「ハル、夕空なら買い物に」

「いえ、その夕空ちゃんに頼まれてハルはツナさんたちの勉強を見にきました!」

「はあ!?」
「なにぃ!?(夕空さん、どうしてアホ女に)」

そうなんです。
丁度、商店街へ買い物に行く夕空ちゃんと遭遇して自分が不在の為、ツナさんたちの勉強を見て欲しいと頼まれたのです。

流石、恋のキューピットです。これなら自然にツナさんと一緒にいられます。まあ、獄寺さんとかも一緒なのはあまり嬉しくありませんが、これは仕方ないので気にしないことにします。


「わからない問題があれば、ハルに教えてください。解き方を説明しますので」

「けっ、夕空さんに頼まれたとか言ってけどよ。このアホ女にこの問題が解けんのか?」

「あ、信じていませんね!」

「夕空と同じ緑中っていうと名門の超エリートじゃねぇか。こいつは頼もしいな」

「ふんっ、ならこの問7解いてみろよ」

「はひ!これ習ったことあります!」

獄寺さんから受け取った問題の紙を広げてみると、どこかで習ったことのある問題が並んでいた。はて、どこで習っていましたか?どの公式を使えばよかったけ?えーと…………。


「ただいまー、綱吉君にみんな。勉強捗ってる?飲み物とかお菓子とか買ってきたけど、食べる?」

「おかえり、夕空」
「あ、おかえりなさいませ。夕空さん。気を使っていただいて、並べるのをお手伝います。」


「そう、ならお願いしようかな」
「はい!お任せを!」

「今、勉強どのくらい捗ってる?」
「今ハルって子が問7を見てくれてるんだ」

「そうなんだ。」

ありがとう、ハルちゃんと穏やかにお礼を言ってくれる優しい夕空ちゃん。夕空ちゃんに助言を貰いたいけれど、ツナさんや獄寺さんに見栄を張ってしまった為、「あと少しです。見えてきました。」などと言ってしまいました。


「すいません、解けないです。」


そしてとうとう耐えきれなくなったところでハルは白旗を上げました。だけど、この問題解けると思ったんです。ぐすんっ。


「ハルちゃん、大丈夫だから泣かないで」

そう言ってハルの目から溢れ出た涙を夕空ちゃんがハンカチで拭ってくれる。獄寺さんがデビルなら夕空ちゃんはエンジェルです。


「夕空はどう?この問題解けそう?」

「ちょっと待ってね。んー、どこかの参考書とかで見た覚えはあるんだけど解き方まではわからないや。そもそもこれって中学生に出す問題じゃない気がするなぁ…」

「なら、大人に聞いてみようぜ。あ、でもツナ達の母さん町内会に出かけてていないんだっけ?」

「ハル、大人の人に心当たりあります!」

名誉挽回の為、ハルは挙手して、携帯でその人のアドレスを取り出して電話を掛けてみます。


「もしもし?ビアンキさん?」


その言葉を口にした途端、誰かが勢いよく部屋の外へと駆け出して行きました。しばらくすると、下から叫び声が聞こえてきました。

扉の近くに居た夕空ちゃんが様子を見てくると急いで部屋を出ていきました。部屋を見渡すと獄寺さんの姿が見えません。どうやら部屋を抜け出したのは獄寺さんだったようです。


「ハヤトったらほんと照れ屋さんね」

「綱吉くん、獄寺くんをベッドに寝かせるけど大丈夫?」


部屋に入ってきた夕空ちゃんとビアンキさんが顔色の悪い獄寺さんに肩を貸していてツナさんの返事で彼をベッドに寝かせました。獄寺さんって第一印象でデンジャラスでバイオレンスな感じでしたけど。意外に病弱なのでしょうか?

「ビアンキさんは問題をお願いできますか?私が獄寺くんを診てますから」


「ええ、お願いね。夕空」


私の時には塩対応なのに、夕空ちゃんの時はまるで甘くて蕩けそうなキャラメル対応でした。もしかして、獄寺さんは夕空ちゃんのことを……。



「はひ、ラブの予感ですか」

そう呟いた私の声は雑音の中へ消えていった。


To be continued
 

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