この空の下で

□狙われた片割れ
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「こんにちは、入江くん」
「ああ、沢田さん。こんにちは」

今朝の騒動を忘れて、私は学校の後に塾に向かった。今日は先日に行われた実力テストの結果発表が張り出されているのだ。1位は入江くん。私もなんとか5位内に入っていた。

「今回は入江くんが1位だね。」
「前回は沢田さんが1位だったのにね」

「うん、今回の数学難しかったから」
「確かに難しかったね」
「次はまた1位取るよ」
「頑張って」

私の意気込みに入江くんは笑う。そしてお互いに自分の座る席に向かった。


「ねぇ入江くんってさ、10年後の自分って想像できる?」

塾の講義が終わって、
帰る道が同じの入江くんと商店街を歩く。私はふと、10年後のことが気になり、入江くんにそう質問した。


「10年後?ちょっと想像できないけど、なりたいものならあるよ。」

「なりたいもの?」
「うん、僕はミュージシャンになりたいんだ」

「え、意外」

「自分でもそう思う。けど、歌が好きでどうしてもなりたいんだ。そう言う沢田さんは何になりたいの?」

「私は…まだわからないや」
「そっか。お互いなりたいものになれたらいいね」

「うん。なりたいものを見つけたら1番に入江くんに報告するね」

「ああ、楽しみにしてるよ。あ、沢田さん、最近物騒だし家の近くまで送っていこうか?」

「ううん、大丈夫。それに寄るところがあるから」

「そっか」


じゃあ、僕はこっちだから帰り道気を付けてね。と入江くんと別れた。私は、商店街の本屋で数学の新しい参考書を買って帰路に着こうとした。その時、ドンと何かが衝突してきた。


「いたっ!」

「いてぇな。てめぇの所為で肩が折れちまったじゃねぇか」

治療費払えやと言い掛かりを付けている男に困っていると誰かがやってきた。

「おい、どうしたよ。」
「ああ、コイツのせいで肩をやられちまってよー」

「え、ちが…」

「ああん!?こいつはさっきのガキじゃねぇか!さっきはよくもやってくれたな!」

「え?なんのことですか?」

「うちのシマ荒らしといて覚えてねぇだと?ふざけんじゃねー…って、お前女か?」

「そ、そうですけど。誰ですか?」

「あ?知らねぇのか?俺らは桃巨会のもんだ。」

「桃巨会?」

それってリボーン君が言ってたヤクザ組織の名前じゃ…。嘘、綱吉君たち、本当にヤクザと戦って島を荒らしてしまったの。驚く私に男はいい反応だなと嗤う。


「さーて、俺らはお前に似たガキ達のせいでむしゃくしゃしてんだわ。悪いがお前のその身体で慰めてくれや」

「…っ…」

嫌な予感がして慌てて逃げようとすると、がっしりと両肩に手を置かれた。どこから出てきたのか男達の人数が増えていた。

「おお!いいね!何処かのホテルに連れ込もうぜ」

「は、放して!」

「ああん?大人しくしろよ、さもねぇとこの場で犯すぞ女!?」

正面に居た男に胸もとのリボンがしゅるりと解かれた。恐怖のあまりに私は目を閉じて歯を噛み締めて頭に浮かんだ人に助けを求めた。「獄寺くん」と。


「夕空さん!」
「獄寺、さん!」

「だ、誰だてめぇ!」
「夕空さん、怖かったら目を閉じて待っててくださいね」


すぐに片付けますので、
と獄寺さんの言葉に私はじっと目を閉じていた。


「もう大丈夫ですよ」

数分経ってから獄寺さんはそう声をかけて私の肩に何かを羽織らせる。目を開けてみるとそれは獄寺さんのジャケットだった。辺りを見渡すと男達は、彼に倒されていた。



「夕空さん。嫌じゃなければ、俺と少しお茶しませんか?」

獄寺さんの言葉に私は力強く頷いた。


To be continued

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