この空の下で

□来年も肩をならべて
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※日常編から抜粋


「母さん、だし巻きできたよ」

「ありがとう、夕空ちゃん」

「美味しそうです!」

「こんなに美味しそうだと思わずつまみ食いとかしたくなるよね!」

ハルちゃんと京子ちゃんの言葉に照れる。母さんはそんな私たちを見て微笑ましいと目を細めた。ちなみに京子ちゃんとは笹川先輩を通して知り合いになりました。

今日はお花見日和。
なので、綱吉くんたちはお花見に最適な場所を確保しに出掛けている。私たちはお重の担当である。


「唐揚げ出来たよ」

「彩りもコンプリートです!」

「まあまあみんな上手に出来たわね」

母さんにお褒めの言葉をもらい完成したお重を風呂敷で包んで、私たちも綱吉くんたちのところへと向かう。



「わあ、綺麗!」

「本当です!ファンタスティックです!」

「みんなお疲れ様!はい、お茶」

リボーンくんから連絡をもらって、その場所に行くと見事な桜が咲き誇っていた。私は疲れた様子の場所取り組にお茶を渡していく。

綱吉くんも山本くんも笹川先輩も「ありがとう」と言って受け取ってくれる。ほんと、なんでみんなボロボロなんだろう?深く突っ込まない方がいいかな。あれ?獄寺くんは何処だろう?

「……。」

いた!けれど、なんか元気がないような…
声をかけたほうがいいのかな。
ひとりのほうが……

ぱきっ

「あ、夕空さん!」

「あ、ああ獄寺くん、お茶いる?」

「はい!あ、どうぞ夕空さんもこちらに座ってください」

どうぞ、と敷かれたビニールシート。

私の馬鹿!
かえって気を使わせてしまった!


「夕空さん?」

「あ、うん、ありがとう」

獄寺くんにすすめられて、
ビニールシートに座る。


「……。」

「……。」

ひらひらと舞う花びら。
それを眺めながらのんびりとする私と獄寺くん。彼のほうに視線を移す。視界に入るのは、陽に照らされた銀髪。

その髪に絡まる淡いピンク色の花びら。
綺麗だなと思わずそれに手が伸びる。

ぱしっとその手が掴まれる。
不思議そうな顔する獄寺くん。

「夕空さん?」

獄寺くんの呼びかけにはっとして顔が熱くなる。恥ずかしい。

「ご、ごめん。花びらが髪に絡まってるから取ろうと思って」

「あ、ありがとうございます。けど、夕空さんのほうが髪に花びらが絡まってます」

まるで花の妖精ですね、と言う彼にますます熱が増していく。手は彼に掴まれたまま。

彼の綺麗な翡翠色の瞳に吸い込まれていく。唇に感じるぬくもり。

え、と思わず目を瞬かせると目の前の彼がニヤリと笑う。

「奪っちゃいました!」

妖精さん、とからかう獄寺くん。
そんな彼に思わず掴まれていない方の手で唇を覆う。キスされた。

恥ずかしいやら嬉しいやらで感情がごちゃまぜになる。そんな私に彼は優しい目をして言った。

「来年もまた見にきましょう」

END

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