series2

□学園祭のはじまり
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「レディース、アンドジェントルマン!いよいよ合同学園祭のスタートだ!」

9月3日。ステージでの跡部くんによる開会の挨拶で学園祭が始まった。


「すげー、すげー!いっぱい店がある!楽しそー!」

「こういう時は元気だな、ジローは」

はしゃぐジロくんに向日くんが感心する。そして、ステージの上から跡部くんが言った。

「堅苦しい話は抜きだ。存分に楽しんでいけ。これは命令だ。いいな?」


「……こういう時までえらそうやな」
「アハハ…」

跡部くんによる開会の挨拶が終わり、隣に座っていた忍足くんがそう呟いた。その隣で広瀬さんが乾いた笑いを零す。

さて、アトラクションコンテストは午後からだし、午前中は模擬店を見てまわろうかな。広瀬さんはどうするんだろう。

「広瀬さん」
「はい?」

「この後なんだけど……」

「風宮さーん!」

名前を呼ばれて振り返ると南の島で知り合った2人が私の元へと駆け寄ってきた。


「お久しぶりです!風宮さん」

「あ、辻本さんに小日向さん。いらっしゃい」

「えへへ、メールの通り遊びに来ちゃいました!」

「お邪魔でしたか?」

「大丈夫だよ。午前はちょうど模擬店を見て回ろうかなと思ってて」


「風宮先輩、その方達は?」

「ああ、南の島で知り合った」

「あ、私、辻本彩香って言います。こっちは小日向つぐみ」

「こんにちは、小日向つぐみです」

「初めまして、私は氷帝学園2年の広瀬静香です。風宮先輩の後輩です」


「2年!私達と一緒だ。せっかく知り合えたしあなたも私達と一緒に模擬店を見て回ろうよ」

辻本さんの言葉に広瀬さんは驚きながらも一緒に模擬店を回ることになった。まず最初に向かったのは、


「スマッシュDEビンゴ?なんだろう?」

立海大の模擬店だった。店番は切原くんだけみたいだ。切原くんは辻本さんと小日向さんの姿を見て目を見開いた。

「よう、お前らも来てたのか。久しぶり。やっていくかい?一回100円だよ」

「切原くん、久しぶり」

「はいはーい!私、挑戦する!」

手を挙げたのは辻本さん。切原くんに100円払ってテニスラケットを持つ。ルールは9分割にされたパネルをテニスボールをぶつけてビンゴを作るものらしい。一回4球限りである。


「うーん、なかなかビンゴにならない」

「よし、ここは先輩である風宮さんの見せ場じゃないっスか?」

「え、私?」

「頑張ってください、先輩」

切原くんと広瀬さんに背中を押され、スマッシュDEビンゴに挑戦することになった。辻本さんからテニスラケットを受け取ってパネルに向けてスマッシュを放つ。当たったパネルの中から「あたり」と書かれたものが出てきて斜めにビンゴを作ることが出来た。


「へぇ……思ったよりやるじゃねえか。ほれ、特賞だ」

そう言って切原くんから渡されたものは白い封筒。中身が気になり開けてみる。中に入っていたものは、


「写真……委員長だ……」

「忍足さんもいる」

「ブロマイド?隠し撮り?」

「いや、目線こっち向いてるから隠し撮りではないじゃ……」

貰った特賞にそれぞれ疑問を抱いていたが、楽観的な辻本さん曰く「忍足さんの写真、いいじゃないですか。良かったですね」と言われたので気にしないことにした。


「めんそれ〜」

琉球喫茶に入って各々の注文の品を前にして辻本さんが「風宮さん、そーいえば忍足さんとはあれからどうなったんですか!?」と私に質問する。

「どうって?」

「付き合ってるんですか?」

「え?風宮先輩と忍足先輩ってそういう関係だったんですか?」

「いや、それはその……」

後輩3人に詰め寄られて私は口をごもる。こればかりは私もわからないからだ。ただ一つ言えるのは、忍足くんが他の女の子と一緒にいると心が苦しくなること。それを話すと後輩3人は嬉しそうに笑って言った。「恋ですね」と。

「恋、これが恋か」

「風宮さん、気付くの遅いですよ」

「さて、そろそろアトラクションコンテストの時間ですし」

「忍足先輩を応援しに行きましょう!」

会計を済ませて、私達はアトラクションコンテストが行われるステージへと向かった。


To be continued.


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