この空の下で
□まだ知らぬ君の活躍
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※日常編抜粋
私には気になっている人がいる。
その人はよく双子の兄の話に高い確率で出てくる。思わず私と母さんとでお話に題をつけてしまう程に。
今だって。
「今日、獄寺くんがさ」と夕飯を食べる兄の口からその人の名前が出てきた。
獄寺隼人くん。
イタリアから最近やって来た転校生なんだとか。彼が転校してきた日から兄の話でその名前を聞かない日はない。
綱吉くんは他人からダメツナって呼ばれてる。どこがダメなのか私にはわからないけれど、自分に自信がないだけだと思っている。
「高校生に献上品もらってた。こわー」
「あらあら高校生の人たちとも仲良しなのね、その子」
「ちがうよ、母さん。」
母さんの言葉に否定する綱吉くん。
だけど、綱吉くんは無意識かもしれないけれど。
「獄寺くんは」
獄寺くんと言う人は綱吉くんにとって大切な人なんだろう。そうじゃなかったら毎晩獄寺くんと言う人の話を私達にはしない。
その人のお陰で綱吉くんは少しずつ変わりつつある。それもいいほうへ。ありがたい話だ。いつか会ってみたいな。
そう思いながら夕飯を口に運んだ。
「夕空、ソースとってくれ」
「はい、リボーンくん」
「さんきゅ」
「夕空!夕空はどう思う獄寺くんのこと!」
「すごい人だなって思う」
「それだけ!?」
もっとなんかないのかよ!と言う綱吉くん。すごいと思うよ。だって、こうして学校で起きたこと楽しく、そして嬉しそうに話す綱吉くん。久しぶりだもの。
「いい人だと思うよ、えと」
「獄寺くん!」
「そうそう獄寺くんって人」
「夕空、いい加減名前覚えてくれよ」
呆れる綱吉くんに苦い笑みを零す私。
私は人の名前を覚えるのは得じゃない。
特に会ったこともない知らない人なら尚更わからない。
だからこの時は知るよしもなかった。
その獄寺くんと言う人がまさか10年後の未来からやってきて、しかも私の恋人として出逢うだなんて思いもしなかった。
END