君と過ごす七日間
□ジャスミンのかほり
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「はい、ジャスミンティー。ボトルは開封してないから安心して」
「ありがとうございます。あの…」
「あ、私は葛城千紗です。歳は20代半ばの社会人だよ。」
「氷帝学園中等部3年忍足侑士です。歳は15歳です。」
私の前に約十数年憧れた彼(眼鏡なし)が目の前にいるのには約3時間前に遡る。普段通りベッドに入って眠っていたらお手洗いで目が覚めた。その時、隣で何故か誰かが眠っていた。私はどうしてもお手洗いに行きたかったので、眠るその誰かを叩き起こしてお手洗いに向かった。
お手洗いから戻ってくると部屋に明かりがついていて彼がベッドで待ち構えていた。最初はお互い無言で見つめ合い。痺れを切らして話し掛けてきたのは意外にも彼のほうだった。「ここはどこで、お姉さんは誰や?」と。
私はどうしたものかと考えた末、彼へ『テニスの王子様』を持てるだけ渡して忍足くんは読みすすめていく。眼鏡をしていない忍足くんは切れ長な目を丸くしながら信じられないという顔色を浮かべる。そして、謎のメモについても話し今に至る。
「あと、はい。伊達眼鏡、無使用だから使って」
「……なんで俺の眼鏡持ってるん?」
「ん?好きだから。」
「え?」
「同じものが欲しくて通販で買ったの」
「さようか…おおきに、使わせてもらうわ」
裸眼を見られるのってなんや恥ずかしいんやわ。あんま見つめんといて。と私から眼鏡を受け取って忍足くんはそう言って掛けた。うん、見慣れた忍足くんだ。
「なあ千紗さんって呼んでもええか?」
「どうぞ、私は忍足くんって呼ぶね。」
「なんでやねん、そこは自分も名前呼びやろ」
「あはは、こっちの方が呼び慣れてるもんでね」
「さようか。……千紗さん、俺はいつ元の世界に帰れるん?」
「このメモには期限は7日間って書いてあるからその日になれば帰れるよ。だからその日まで私のところで生活しようか。」
「ええの?俺、男やで」
「男の子だよ。心配しなさんな。さあ、ちょっと早いけど朝ごはん作ろうかな?」
「千紗さんっておもろい人やなぁ。……ありがとう。よろしゅうな」
「うん、よろしく」
To be continued.