君と過ごす七日間
□CRAFTY
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「そうだ。服を買いに行こう!」
「なんやねん、その…まるで京都に行こう!みたいなノリは」
「しかしね、忍足くん、君寝巻きの下着と黒ジャージ以外しか身につけてないじゃない。日用品は必要だと思うよ?」
いつまでもその格好でいいの?と私がそう尋ねると忍足くんは力なくゆっくりと首を左右に振った。
「靴は、後で買うとしてクロックスでいいかな?間違えて大きいサイズ買っちゃったけど、色は黒だし問題ないよね?」
「あー…なんでもええわ。」
「よかった。服も今はそのまま我慢してね?」
じゃあ、早速デパートに行こうか、と家の鍵と車の鍵を持つと忍足くんは驚きながら尋ねてきた。「今日、仕事はないんか?」と。
「今日はお休みなの。だからそう心配そうな顔しなさんな。」
さあ、行くよ。と忍足くんを促すと彼は頷いて先程出したクロックスを履いて私の家の外に出る。私たちは家の鍵を閉めて、愛車の元へ目指した。
「よし、ここで別行動にしようか」
「えっ?一緒に行動するんやないの?」
「うーん、一緒に行動すると効率が悪いから。はい、何かあったらこのスマホで連絡してね。私、スマホもう1台持ってるし、あとお金。」
「おおきに」
それじゃまた後でねと、千紗さんは去って行ってしまった。服屋の前で別れた俺はそこで服と日用品を買うことにした。ジャージから買った服に着替えてその後は靴屋に行って運動靴を買う。ほんまはテニス用品も欲しい。けど、我儘は言えん。何故なら俺は7日経ったら消える存在や。やから、これ以上迷惑は掛けたない。
「あ、忍足くん!丁度いいところに!」
「千紗さん!?」
「その服似合ってるよ!で、ラケットとボール買うよね?どれにする?」
「買ってええんか?」
「もちろん、こっちでも練習するんでしょう?微力ながら私が対戦相手になってあげる。と言うか忍足くんの技をなまで体感したい」
中学は女テニだったんだよねー。とスポーツショップの前で俺に微笑みかける千紗さん。そんな彼女に驚きながら素直にラケットとボールを買ってもらった。
「そうだ、忍足くん。これ、家の合鍵作ったからあげる。暇な時にいつでも出掛けられるよ」
そうか。別行動にしたのは、俺の合鍵を作るためだったんか。
「敵わんな」
「何か言った?」
「なんも」
「ふぅん、まあいいや。ついでだから食材も買っていこう」
「おん」
こうして、俺と千紗さんの買い物は終わった。
To be continued.