君と過ごす七日間
□永遠なんてない
1ページ/1ページ
「忍足くん、またそんな格好でいて。ほら、こっちに座って」
「ハイハイ」
「はいは一回でいいから」
そう言って私は前に座り込んだ忍足くんのしっとりと濡れた髪にタオルを使って丁寧に乾かしていく。
昨日はドライヤーを使ったら嫌がったため、今回はタオルのみである。綺麗な髪なのに勿体無いな。と私は思う。
「よし!乾いたよ」
ポンと彼の肩を叩くとびくっと反応した。彼曰く、気持ち良すぎて一瞬眠りかけていた。と。
「さて、寝ようか」
「もう寝るん?まだ早いやん。もう少し相手してや」
これ観よう、と彼が誘ってきたのは私が録画していた。某ホラードラマである。ラブロマンス好きな彼としては意外だ。
「それ怖いやつじゃん。夜眠れなくなるよ」
「千紗さんって怖いもの見たさなん?俺が居るから大丈夫やって」
そう言って忍足くんは某ホラードラマを再生した。本当に大丈夫だろうか?
「……。忍足くん、重たいよ」
「あかん、千紗さん、動かんといて」
いつの間にやら忍足くんにしがみつかれている。どうしてこうなったのか。それは、
「あかん、あかんで。それはやばい……っ!」
忍足くんが意外にも怖がりだったためである。普段のポーカーフェイスは何処に行ったのだろうか?
「終わったね。」
「……あ、ああ。そうや、ね」
「ホットミルク入れてくるから放して」
「お、俺も行く」
二時間後。ホラードラマを観終わったが、忍足くんが放れない。余程怖かったらしい。
「千紗さん、あれ怖くなかったんか?」
「ん?怖かったよ」
忍足くん程ではないけど。と、言うか、忍足くんが怖がってるのを見て逆に冷静になってしまったわけだが、これは本人に言わないでおこう。まあ年相応で可愛らしいな。
「さあ、ホットミルクが出来たよ。忍足くんも飲んで」
熱いから気をつけてね。と声を掛けてから自分のマグカップに息を吹きかけて少し口を付ける。
「「美味しい」」
「……。」
「……。」
「「ぷっ、あはは」」
永遠なんてないけれど、
このまま忍足くんとのんびり時間を重ねていきたいな。
この後、一緒に寝るか寝ないか言い合いになった。が、結局一緒の部屋で寝ることにした。もうすぐ来る彼とのお別れを惜しみつつ。
To be continued.