君と過ごす七日間

□明日の自分へ
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「今日は少し冷えるね」

「せやな、…けど。俺はこの時期好きやで」

「そっか。」


現在、私は忍足くんと駅前の本屋への道を歩いている。子供は風の子とはよく言ったものだ。と言うよりは、さすが運動部って感じか。


「千紗さんは寒いの苦手なん?」

「私、夏生まれだから少し寒いのは苦手かな。」

「そうなんや。」

「忍足くんは10月生まれだよね。誕生日過ぎちゃってるけど、おめでとう。」

「おおきに。千紗さんは恋愛小説好きか?」

「そうだね。ミステリー小説とかも読むけど恋愛小説も好きだよ」

「ほなら、中学生?高校生?」

「うーん、私は社会人かな」

「へぇ、社会人か。それもええな」


おススメとかある?と忍足くんが尋ねてきたのでそれに答えながら歩く。物静かなイメージの忍足くんは嬉しそうに私の言葉に耳を傾けながら何度も頷いていた。そうしている間に本屋に着いた。


「さて、じゃあ私は雑誌コーナーにいるから会計する時に声かけてね。」

そう忍足くんに声を掛けて、私は雑誌コーナーへと向かった。本当は忍足くんが将来どんな進路に向かうのか気にはなったがあまり詮索しないほうがいいと言うのが私的には得策かと思ったのである。


もちろん大好きな忍足くんのことはなんでも知りたいとは思っているけど、大好きだからこそなんか触れてはいけないこともあるんじゃないかとも同時に思ってしまう。

本人が話してくれるのを待つ。

それがいいのではないかと言うのが私の本心である。



「……。」


恋愛に奥手なあなた、たまには大胆不敵に行動すると愛しの彼と何かいい進展があるかもしれないよ!


「千紗さん」

「……。」


恋愛に奥手か。なるほど。まあそうかもしれないけど。大胆不敵って某神出鬼没な怪盗じゃあるまいしそんなこと出来るわけがな……。


「千紗っ」

「っ!?……あ、ごめん。問題集選び終わったんだね」

「ああ、なんや。随分夢中に読んどったみたいやけど…それ買うんか?」

「え、いや…それより今私のこと呼び捨てにしなかった?」

「すまんな。何度呼んでも反応がなかったからつい、な」


ダメやったか?と訊いてくる彼に私は慌てて首を左右に振った。びっくりした。だって、いきなり耳元で自分の名前が囁かれるなんて。


「ふっ、顔が真っ赤やで」

「お、大人を揶揄うな」


さ、さすが千一番目の技、効果抜群だ。もう今日は彼に勝てる気がしない。


「ゆーしのいけずっ!」

「っ!?」

明日の自分へ。
彼との残り僅かな時間を悔いのないように過ごせますように。

To be continued.
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