君と過ごす七日間

□エピローグ
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「こら、侑士!今日から合宿でしょ!」

遅刻するわよ!という声とドンドンとドアを叩く音が響く。うるさい姉貴の声に意識が覚醒する。ああ、元の世界、千紗さんの居ない世界に帰ってきたのか、と。


「うるさいで、姉貴」

「優しいお姉様にその口の利き方はなによ!?」

もう少しで跡部くんが迎えに来るわよ!という声にふと思い出す。そういえば今日から俺はU−17日本代表の合宿に氷帝の連中と合流することを。

「早く着替えてご飯食べちゃいなさい。母さんが待ってるわよ」

「わかっとるわ」

姉貴の言葉に寝巻きから氷帝ジャージに着替える。持っていく荷物の準備は整っている。その荷物と大事なラケットのバッグを持って、おかんが待つリビングへと急ぐ。慌ただしいが、感傷に浸っている場合じゃあらへん。

千紗さん、俺はテニス頑張るで。紙越しでもええ。見といてや。



「あ、続編出てる」

忍足くんが元の世界に戻って数日後、感傷に浸ることすらできず仕事に精を出していた。そしてある日仕事帰りに書店に寄ると、【新テニスの王子様】が出版されていた。即買いです。


「へえ、舞台は世界、U ー17日本代表合宿か」

家に帰って早速【新テニ】を読み耽る。同士討ちには思わず泣いてしまった。向日くんVS忍足くん。ダブルスのペアである2人が戦うこと。試合は忍足くんが勝った。

だけど、心を閉ざさなければならない程、この試合は忍足くんにとって向日くんの存在が改めて大事な存在なんだと思った。


「忍足くん…」

飄々としてるけど、
辛くないわけないよね。


「あ、そろそろ寝なきゃ」

時計を見ると長針と短針が上を向いていた。明日も早い。シャワーを浴びて寝ることにした。


「おやすみなさい」


この言葉を言うのもすっかり癖になってしまった。返事は返ってこないまま眠りに就いた。


「葛城くん、ちょっといいかな?」

「ぶ、部長。何か書類に不備でもありましたか?」

「いや、大丈夫だよ。ただ君にお願いしたいことがあってね。例のイベントスタッフに欠員が出てしまったんだ」

葛城くん、イベントに参加してきてくれないかと言う部長のお願いに私は二つ返事をした。

例のイベントとは取引している会社との連携して行う商業イベントだ。確かこのイベントの企画はとある財閥が絡んでるって広報部の子が言ってたな。

あと記者もたくさん来るって言ってたけ。

タクシーの中で色々と考えを巡らせる。そしてそのイベントが行われるホテルへとやって来た。すると、曲がり角から誰かが出てきて衝突してしまった。


「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」


「いや、こっちこそ。えらいすいません……って、千紗さん!?」

「え、忍足くん!?」

「「なんでここに!?」」


企画名『新世代プレイヤーズグランプリ』。

いつの間にやら私と君の世界は繋がっていた。


END


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