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□下校途中でばったり
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「おっ!おはよう、ニャーゴ。今日は遅刻しなかったな!」

「えへへ…。」

おはよう、ニャンタ!と友達のニャンタに挨拶を返した僕は背負っていたランドセルを自分の机の上に置いた。

席に座ってランドセルから教科書とかを取り出して机の中に移す。その間ニャコちゃんやキャッチンに挨拶した。

そして教室にやってきたスズコ先生も僕が遅刻をしなかったことを驚きながらも誉めてくれた。



「良かった。遅刻しなくて…」

授業が始まって僕は読んでいた教科書からふと窓の外に視線を移した。

あのお姉さんは学校に遅刻しなかったかな?
…あれ?そーいえば僕、あのお姉さんにお礼言うの忘れちゃった。

今度あったらお礼言わなきゃ。

ぼんやりとそんなことを考えていると声が聞こえた。

僕にしか聞こえない。
誰かの声が。

『助けて!』と僕を呼ぶ声が。


「せ、先生!」

先生に無理を言って教室から抜け出した僕はトイレに向かって走った。

変身するために。

そう、僕は自分でも信じられないけれど助けを求める人を救うレスキューキャット。



「ニャニがニャンだーニャンダーかめん!」

変身を終えた僕は「助けて!」と言う声が聞こえた場所を目指して飛んでいく。

それが僕の…ニャンダーかめんとしての日常なんだ。


「あ、お姉さんだ」

下校の途中に今朝ハンカチを拾って届けてくれたお姉さんを見つけた。

妹と同じ白い毛並みもそうだけれど彼女の右頬にあるハートの斑点があのお姉さんだと教えてくれた。



「ありがとね、本当に助かったわ」

「いえ、家に帰る途中だったから」

どうやら重たい荷物を運ぶのに困っていたおばあさんをお姉さんが助けたということが2人のやりとりから見てとれた。


「…あれ?君は朝の」

家に入っていくおばあちゃんに手を振りながら見届けていたお姉さんが僕に気付いて声を掛けてきた。


「学校には間に合ったかな?」と尋ねてくる辺り僕のことを気にしてくれていたことがわかる。


「は、はい。…あの、お姉さんのほうは間に合った?」

学校…と僕の質問にお姉さんは「全力疾走したから間に合ったよ」と答えてくれた。

その言葉に僕は安心して胸を撫で下ろす。


「僕、ニャーゴって言います。今朝はハンカチを拾ってくれてありがとうございましたっ!」

あの時言えなかったお礼を言って頭を下げると、背負っていたランドセルの蓋が開いて中身が道に落ちて散らばった。


「ああっ!?ランドセルの鍵締め忘れちゃってた!?」

あたふたしている僕にお姉さんは「ああ、それ私もよくやったよ」と言いながら屈んで中身を拾ってくれる。

それを見て僕も屈んだ。
「自分で拾うよ」と言う僕の言葉にお姉さんは「2人で拾ったほうが早く終わるよ」と返す。

その気持ちは嬉しかったけれどニャンダーの変身キットも落としていた僕は先に拾われてしまうかも知れないと慌てた。

あ、あった…!

「…えっ」
「あっ…」

丸まった変身キットに僕が手を伸ばすと僕の手にお姉さんの手が重なった。

ごめんね!とお姉さんが謝りながら手を退けて別の物を拾う。

僕は大丈夫とだけ返して変身キットを掴む手をまじまじと見つめてしまった。

触れた手は僕とは違う温かさを持っていて柔らかかった。なのに、一瞬僕の手に電気が流れたように感じた。

To be continued.

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