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□天魔集
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天使と悪魔と秘密のガーデン
ゲーム寄りの二次創作小説集1。

2017/1/11にゲームが終了するためイベント秘話だけはここに残して置こうと思い、
掲載します。なお、限定イベントは雨宮シュウイチしか攻略しておりません。

レイト・ハロウィンイベント編

【プロローグ】

プロムもどうにか無事に終了したが、
私はその後も生徒会のお手伝いとして
放課後は、ほぼ毎日生徒会棟へ通っていた。

「失礼します」

そして、
今日も私は生徒会室の扉を開ける。
生徒会室には雨宮先輩とケイくんの姿があった。


ケイくんが私に気付いて声を掛けてきた。
「ああ、ちょうどいい所に来てくれたね」と。

私はケイくんに「どうかしたの?」と尋ねると、ケイくんの傍にいた雨宮先輩が代わりに応えてくれた。


「今ちょうど次の学園の催しについて
相談していた所だ」

いつまでも扉の前に突っ立っていないで入ってこいと雨宮先輩に促され、生徒会室の中に入るとケイくんや雨宮先輩の奥に、キョウ先輩やルイくん、アキラくんの姿もあった。


「秋のイベントを決めるんだとさ」

「今までにやったこと無いようなのがいいと思うって話してたんだ〜」

「……先輩はなにか思いつく……?」

「えと……秋のイベントと言えばハロウィンとかしか思いつかないな……」


アキラくんの言葉にそう返して生徒会室に飾られているカレンダーに視線を向けた。

今はもう11月に突入してしまっていて、ハロウィンの時期はとっくに過ぎてしまっている。
他に何か相応しい催しものはないものか、と考えあぐねていると、私の背後から剣持先生の感嘆な声が聞こえてきた。


「ハロウィンか!確かに時期は過ぎてるが、秋の催しにはいいかもな!」

振り返ると、剣持先生が生徒会室に入ってきて私の隣に立って話を続ける。


「天魔はそういった人間のお祭りには馴染みがないからこの学園の生徒のほとんどはハロウィン自体知らないだろうし、目新しくていいんじゃないか?」


「ハロウィン……聞いたことあるような……それ面白いの?」

ハロウィンという言葉に一番興味を示したルイ君が不思議そうに尋ねる。

天魔に人間のお祭りに馴染みがないのはどうやら本当らしく、ハロウィンの趣旨を知っている私と剣持先生を除いた生徒会メンバーが不思議そうな顔をしていた。


私にとってハロウィンは、西洋から日本に伝わった行事みたいなもので、天使や悪魔の末裔である天魔の彼らがハロウィンの存在を知らないことに不思議に思った。


「そっか。みんな知らないんだ。簡単に説明すると子供たちが仮装し「Trick of treat!」って言いながらお菓子を貰うお祭りで」

「ははっ!本来は収穫祭や、悪霊を追い払うと言った行為だったわけだが最近じゃ、もうそんな感じで定着してるよな。まあ、学園始って以来のイベントだし、現代の人間世界の勉強ってことでこいつが知ってるハロウィンパーティーをしようか」

私の稚拙なハロウィンの知識に、さすが歴史学を教える先生である剣持先生が補足してくれた。


「では自分たちも、準備のために予備知識を……」


「いや、今回は生徒会主催でなく、学園主催でやるよ」

「いいんですか?」

「初めてのハロウィンだろ?お前らにも楽しむ側にまわってもらいたいしな」

「今回は仕事しなくていいってことか楽でいいな」

「プロムと同じようにパートナー同伴で参加だぞ。まあ、仮装パーティーだから男女ペアじゃなくてもいいけどな」

剣持先生の言葉を聴いて、私はプロムの時にお世話になった相手を見つめた。
彼は私の視線には気付いていないようだった。




【女子寮・自室】

私は生徒会の会議が終わってすぐ自分の暮らしている女子寮に帰って、
同室のチホちゃんにハロウィンパーティーの話をした。

「へぇ!ハロウィンパーティーかぁ!なんだか面白そう!!あなたはプロムの時と同じパートナーと行くの?」

「まだ誘って無いんだけど……。断られたらチホちゃん一緒に行ってくれる?」

「あはは!絶対断られることは無いって!
ま、明日聞いてみなよ?もしもの時は私がパートナーになってあげるから」

「う、うん。訊いてみる……!」


そして翌日の放課後。
彼にハロウィンパーティーに一緒に行ってくれるか訊いてからチホちゃんのいる裁縫部へ向かった。


「おっ、どうだった?」

「一緒に行ってくれるって!」

「ふふっ、ほらね。あなたの誘いを断るなんて絶対ないと思った!そうだ、衣装はどうするの?私、作ろうか?」

「あ、あのね……実は作ってあげようかなって思ってるんだけど、無理かな……?」

「いいじゃん!好きな子の手作り衣装なんて嬉しいだろうしね!わからない所は私も教えてあげるし、型紙とか難しい所は手伝ってあげるよ!」

「お願いしますっ」

「じゃあ、あなたの衣装は私が作ってあげるね♪どんなのができるかは、あとでのお楽しみね」

「ありがとう!!」

「衣装の素材は妖精の素材を使った方がいいと思うんだけど、花壇で出来そう?」



「エビルに訊いてみる!」

エビルと言うのは、体毛が水色で容姿はアライグマに似ていて、ここ黎冥学園の裏庭に住んでいる花の妖精だ。

【禁断の果実】と呼ばれるものを私は誤って口にした。それで得た力にエビルが気付き、なんやかんやで陽の当らない裏庭でエビルと一緒に色々な花を咲かせることになって、エビルにとって私は相棒的な存在になっていた。

翌日、エビルに相談したら、衣装用のタネを作れるように頑張ると言ってくれた。

素敵なハロウィンパーティーにできるように私も頑張って衣装用のタネを育てないと……!


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