番外編

□忍足くんと悩みごと
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「……。」

「眠れへんのか?」

「…うん、なんか目が冴えちゃって君は?」

「俺もそんなところや。…隣座らせてもろうてもええか?」

「どうぞ」

「おおにき」

「……」

「なあ。」

「ん?」

「なんか悩みでもあるんとちゃうか?なんやったら俺に」

「やだな忍足くん。私に悩みなんてないよ。」

「(はぁ、ほんまこの子は)誰やお前」

「誰って風宮」

「いや、お前は風宮さんとちゃうよ。ニセモノや」

「ニセモノ?」

「せや、姿形は誤魔化せてもこの氷帝の天才の目だけは誤魔化せへんよ。ほんまもんの風宮さんはな。笑った顔がごっつう可愛くて見てるこっちもなんや暖かい気持ちにさせてくれるんや。」

「……。」

「今のお前の笑顔を見ても誰も暖かくなれへんよ。むしろ凍えるんちゃうか?」

「そんなにひどい顔なの?」

「おん。普段の笑顔が太陽なら今の笑顔は北風やな。みんな見てられんて顔逸らすわ」

「……」

「誰にも言うたりせぇへん。そやから、俺だけに話してみひん?」

「聴いたら凄くくだらないかも?」

「ええよ。他人にとってはくだらん話やろうけど、風宮さんにとっては結構深刻な話やねんやろう?」

「……私ね、自分に自信が持てないんだ。」

「……」

「何かをやろうとしてすぐにやめたくなってくるの。私のやっていることは間違ってるんだって不安になって。」

「……」

「もう無理だって。限界だって思うようになって」

「……」

「だけど、途中で止めたらもっと苦しくなるの。そうゆう諦めの悪い自分が嫌になる」

「俺は好きやで。」

「…え?」

「そうゆう真面目で諦めが悪うて一生懸命に頑張っとる健気な子」

「…弱音吐くのに?」
「ええやんか。弱音くらい吐いたかて」

「けど、」

「風宮さんはもう少し人に甘えてもええんやで。泣きたいくらい辛いんやったら俺の胸で泣いたらええし。どうや?」

「…いや、遠慮する」

「遠慮なんかせんでええのに。ほんま甘えるのが下手やなあ、葉月ちゃんは」

「…と言うか忍足くん、私の名前を呼んで遊ぶのやめて。」

「なんや照れとんの?かわええやっちゃな。」

「違うから!…なんか忍足くんに名前で呼ばれると背中のあたりがぞわぞわして気持ち悪い」

「なんやて?そないなこと言う子のお願いは聞いてやらへん」

「えぇ!?そ、そんな…」

「ぶっ、冗談やて」

「どこら辺が!?」


「…おん、いつもの風宮さんに戻ってきたな」

「忍足くん、ありがとう。もう少し頑張れそうな気がする」

「ああ、また悩みごとがあったら聞いたるさかいな」

「うん、本当にありがとう」


END
 

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