番外編

□忍足くんと進路調査
1ページ/1ページ



「進路、か。…どうしようかな」

「何悩んどんの?」

「…忍足くん、重い。あと、頭に顎が刺さってるから離れて」

「ええやん。俺と風宮さんの仲やないか」

「どんな仲だよ。」

「恋仲、又は夫婦漫才の相…」

「寝言は寝て言え」


「いけずやなぁ…で、どないしたんや?」

「この間さ、進路希望調査を書かされて」

「ああ、俺らのクラスもやったわ。それ。」

「なんか再提出しろって私だけ返された」

「は?ちょそれ見せてもらえる?」

「はい」

「……」

「……」

「なぁ聞いてええ?」

「どうぞ」

「なんして第1しか書いてへんの?しかも外部やし。…風宮さんは氷帝の高等部には行かんつもりなん?」

「行かないよ」

「なんでや」

「やりたいことがあるから」

「やりたいことってなんやの?」

「氷帝に居たら出来ないこと」

「…ほんまか?」

「え?」

「氷帝に居ったら出来んってほんまにそう思っとるん?」

「忍足くん、」

「ほんまはもっと別の理由があるんとちゃうか?」

「!」

「…なんてな。」

「え?」

「すまんな。自分が外部行く言うから動揺してもうたわ」

「…動揺?忍足くんがなんでっ?」

「なんでって。風宮さんが居らんくなったら寂しいやん」

「寂しい?」

「せや、寂しい」

「…っ」

「ど、どないしたん?」

「ううん、なんでもない。…ねぇ、進路希望調査返してもらってもいいかな?」

「お、おう。…あ」

「じゃあ、提出してくるね!」

「…っ、ああ」


自惚れてもいいのかな?滅多に感情を表に出さない彼が「寂しい」と言ってくれるなんて思わなかった。


自惚れてもええんかな?何に対しても意志の強い彼女が俺の放った情けない一言で第一志望校を変えるやなんて思わんかった。



第一志望
氷帝学園高等部

E N D

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ