番外編
□お見舞いと妖精
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「爽太先輩、調子はどうですか?これ星羅さんからです。」
「あと3日で退院だってよ。悪いな、葉月。星羅のヤツ、今度はまた何を作ったんだ?」
「レモンの蜂蜜漬けだそうです。」
「レモン丸ごととかじゃないよな?」
「私に聞かれても…。それより早く良くなってくださいね。先輩の抜けた穴は大きいとうちの伯父さんが言ってました。」
「ああ、マスターには本当に迷惑かけたからな。退院したらすぐ店に顔出すって言っといてくれ」
「わかりました。じゃあ、私はもう店に戻りますね。」
「ああ、じゃあな」
ー病院の廊下
「はぁ……」
「あの、大丈夫ですか?」
「え、あ、俺?大丈夫ですわ」
「ため息吐くと幸せが逃げてしまいますよ。」
「幸せ、か。……そやな。ちょっと迷ってて」
「迷う?」
「後輩がこの病院に入院しとるんや。リハビリも頑張ってる。けど、俺はソイツに顔を見せ……見舞いには行かれへんのや。それくらいひどいことをしてもうてる」
「そうなんですか。では、隠れて差し入れとかはどうでしょう?」
「差し入れ?」
「リハビリ頑張ってる後輩さんに気付かれないようにこっそりと、」
「なるほど。おおきに。」
「頑張ってください。」
「ほんまにありがとう。またどっかでアンタに会えるとええな。俺、毛利寿三郎。」
「私は風宮葉月です。」
「ほなな。」
「はい。」
END