番外編
□忍足くんとネクタイ
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「ごめん、風宮さん。ちょっと匿って」
「え?滝くん、どうしたの?」
「いいから。先輩たちが来たら俺は居ないって言って。じゃあ」
ー数分後
「ねえ、貴女。滝くんのクラスメイト?」
「はい、そうですけど。」
「滝くん、探してるんだけど。見かけてない?」
「こっちに来たと思ったんだけど」
「ああ、滝くんなら跡部くんに呼ばれて生徒会室へ行きましたよ」
「あら、そうなの?」
「跡部様のところか。ありがとう、じゃあね」
ー数分後
「滝くん、もう教卓から出てきていいよ」
「助かった〜、ありがとう。風宮さん」
「一体どうしたの?先輩たちに追われてるなんて」
「いや、それが卒業式で最後だからって告白されてさ。それで断ったら記念に俺のネクタイが欲しいって言われて」
「うわー。大変だったね」
「とにかくありがとう。風宮さんが今日日直で良かった。それじゃあ俺は部活に行くから」
「うん、気をつけてね。」
ー職員室の前
「さて、日直の仕事も終わったし。早く伯父さんのところに行かないと」
「あ、滝の彼女やん」
「彼女じゃない。ってこんなところで何してるの?」
「日直や。」
「そうなんだ。あれ?君は被害にあってないの?」
「被害ってなんや?」
「えと、ネクタイ争奪戦?」
「ああ、卒業式のあれか。あれなら先約が居るって断ったわ」
「なるほど。君は冷静だね」
「と、言うわけでこれ頼むわ」
「は?なんで私にネクタイ渡すの?」
「先約なんて嘘やからな。嘘をほんまもんにせんと。…滝経由で返してな」
「返してな……って、もういないし。まあいいや。明後日滝くんから渡してもらおう」
END