番外編

□忍足くんと幸せ
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「いいよね、風宮さんって。辛いことも苦しいことも不安もなく楽しそうで」

「そんなこと」

「ないって?ほら、やっぱり幸せじゃない。私たちなんていっぱい悩み抱えてんのに」

「……。」

「私なんて勉強出来てもテストで良い点採っても当たり前って感じだし」

「私なんて彼氏いても楽しくないし」

「……。」

「「いいよね、本当に。幸せで」」

「……っ」

私が幸せ?
何も知らないくせに。

辛いことあるよ、
いきなり大学生から中学生に戻された。

苦しいことあるよ、
それを打ち明けられる友もいない。

不安なんて。
いつも不安だよ。
元に戻れたらいいのにって。

楽しそう?
悩みだって貴女達みたいにたくさん、
たくさん抱えてるよ。だけど、


「幸せって誰が決めたん?」

「「忍足くん」」

「なあ、風宮さんが幸せって誰が決めたん?」

毎日考えないように努力してるの。
誰にも迷惑かけたくないから。



「忍足くん、いいよ」

「いい訳、あるか。泣きそうやん。なあ、自分らに風宮さんの何がわかるんや」

「わ、私達は別に何も」

「そ、そうよ。それに忍足くんに守ってもらうなんて狡いよ。」

「狡い?友達を守って何が悪いの?」

「滝くんまで」

「風宮さんにだって悩みはあるんだよ。"幸せ"なんて言葉で片付けないでくれるかな」

「そうや、それに幸せに見えるのは彼女が"努力してる"って証拠やで。自分ら、努力もせんで不平不満を彼女に押し付けるのやめてや。」

「!」

「っ、行くわよ」
「ええ」



「行っちゃったね」
「ああ、風宮さん。…大丈夫か?」

「2人ともなんでここに」

「ここ最近元気がなかったからね」

「心配してたんや」

「ごめん。…迷惑かけて」

「違うでしょ。心配=迷惑じゃない。それに謝られるよりお礼がいいな。ねえ、忍足」

「おん」

「……ありがとう」

END

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