番外編
□忍足くんと手紙
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「風宮さん、おはようさん」
「あ、忍足くん。おはよう」
「その手紙……」
「え?ああ、靴箱に入ってて」
「ラブレターか?」
「えっ?まさか……(じゃなかったら親衛隊の呼び出し?)」
ひょいっ
「えーなになに、【放課後、裏庭で待ってます。】」
「お、忍足くん。人の手紙取らないでよね。あと勝手に読むのも良くないよ。」
「ええやん、俺と風宮さんの仲やん。それにしてもベタな文章やな。……行くんか?」
「いやだから何の仲なんだよ。うーん、どうしようかな」
「俺が代わりに断りにいこか?」
「なんなん、それはだめだちゃ。」
「ほんなら途中まで付いていこか?」
「過保護か!……大丈夫だよ。多分」
「そうか。(なんや心配やな)」
放課後ーー
「風宮さん、好きだ。忍足と仲がいいのはわかっている。だけど、君が好きだ。俺のこの想いを受け取って欲しい。」
「わかっとんのやったらこの子に手出さんといてくれるか?」
「お、忍足!?なんでお前がここに!?」
「忍足くん、これは私と彼の問題だよ。口を挟まないでくれるかな?」
「せやかて葉月ちゃんが心配やったんや」
「心配しなくても大丈夫だって言ったのに。……えと、手紙ありがとう。でもごめんね。君の想いに応えられない。」
「そうか、…ここまで来てオレの気持ちを聞いてくれてありがとう。」
「こちらこそ、こんな私を好きになってくれてありがとう。」
「!ああ、じゃあ俺は帰るな。忍足もすまなかったな」
「わかればええんや。まあ自分も早よまた別の恋を見つけて幸せになれよ」
「!おう、じゃあな」
男子生徒が去った後ーー
「なんやええ奴やったな」
「だから大丈夫って言ったのに」
「嘘はあかんで。親衛隊の呼び出しだと思って怯えてたんわ、どこの誰や」
「え!?気づいてたの!?」
「そんなん葉月ちゃんの顔色見ればわかるっちゅー話や」
「もう侑士くんには一生敵わないな」
「一生かいな、ほんまえらい殺し文句やな。」
「えっ?」
「なんでもない、ほなら俺らも帰るか」
「うん、そうだね」
END