番外編
□忍足くんと推し活2
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「映画すごい盛り上がったね!まさかあんな展開になるなんて」
「そやな、えらい美女でもあのアクションはやばかったわ。それにキスシーンとかもええね」
「そ、そうだね(あのシーンですっかり忘れてた)」
「なんや?もしかしてさっきの思い出したん?」
照れんでもええのに、とこっそり耳打ちする侑士くんと向き合う。彼はにこやかな笑みを浮かべている。今日もいけず全開なんですね。わかりました。
映画を見終わった私たちはカフェへとやってきた。実はこのカフェも今日のお出掛けプランに入っている。
「ほぅ、さっきの映画のキャラのコラボメニューか」
「うん、コラボメニュー食べたことなかったから興味があって」
「なるほどな(葉月ちゃんの推しは金髪なんやね。前の映画も蒲公英のやつやったし。金髪が好きなんかな)」
「ーーラテとナポリタンお願いします。侑士くんはどうする?」
「……(ジローと跡部と仲がええのも)」
「侑士くん?」
「え、なん?」
「メニューどうする?」
私の言葉にはっとしてメニューを選ぶ侑士くん。なんか心ここに在らずって感じだ。急にどうしたんだろう?そう思いながら会計を済ませて空いていたテーブルに向かい合って座る。
「……」
「……」
な、何故だろう。
沈黙が……
「お待たせしました。ラクレットチーズパスタセットのお客様!」
「あ、俺やな。」
「お待たせしました。ナポリタンとバニララテのお客様!」
「あ、はい」
良かった。
料理きてくれた。
「ほな、食べようか」
「あ、ちょっと待って。グッズの中身確認するから」
「中身?」
「そう。……やった!一番欲しかったやつだ。」
「犬?」
「そうだよ。可愛い。」
「もしかして葉月ちゃんの推しって」
「?この仔だよ」
「金髪ちゃうんか」
「好きだけど、推しではないな。」
私は侑士くん一筋だし、と小さく呟くと侑士くんもそうかと呟いた。
「このラクレットチーズ美味いで」
はい、あーん。とこちらにフォークを向ける侑士くん。え、食べろってこと!?
「い、いやさすがにそれは」
「ええやん、岳人のたこ焼きよりはだいぶましやろ」
「さらっとやなこと思い出させるね。私何か怒らせることした?」
「してない。ただ俺の心が狭かっただけや」
さらりと笑って言う侑士くん。
冷めないうちに食べ、と未だにこちらにフォークを向ける。
ラクレットチーズパスタ、
美味しかったです。
END