番外編

□いつかのキミに
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それはまだ私が学生として『テニスの王子様』にハマって浅かった頃のお話。

最推しはやはり忍足くん。
そして、……。


『さすが忍足さん、カンサイしました』

『苦しいわ、アホ』

ダビデこと天根ヒカル。
推しと言う訳ではないけど、彼の声と放つダジャレが好きだった。


『なんや応用利くやん』

『おうよ』

『!?わかりにくいわ!』


『ダジャレをいうのはダレジャ』



『もうキミとはやってられんわ!』

ところ構わずダジャレをぶっこむダビデくんとそれを突っ込んで文句を言う忍足くん。

そんな急造掛け合い漫才なテニスを観て私はずっと笑っていた。もうお腹が捩れるくらい面白くていいなと思った。家族が引くくらい面白くて楽しくて幸せだった。
懐かしい思い出。




「……」

「……千紗さん?」

「あ、ごめん。忍足くん何?」

「今、誰を思い浮かべてたん?」


まさか男でもできたん!?と言う忍足くんに違うと返す。今日は会社がお休みなので久しぶりに忍足くんとカフェでお茶をしていた。そうだ。


「すみませーん!いちごパフェください」

さすがにデラックスは食べられないし、無理に注文して忍足くんに迷惑をかけるわけにはいかない。


「太るで」

「たまには糖分もとらんと」

「千紗さん、それダジャレか」

「えっ?」

忍足くんの言葉に私は首を傾げる。が、忍足くんは疲れたようになんでもないと返した。そういえば、


「忍足くん、今日はどうしたの?」

「せやった。六角中の天根がな」

またしょうもないダジャレを言うんや。と言う忍足くんに私もドキッとした。


「それにツッコミ入れてたら青学の手塚にコンビ組んでるのかって言われてな」

「あれ?黒羽くんは?」

「黒羽は今合宿所にはおらんくてな」

「そ、そうなんだ。(崖の上での特訓中かな)」

「天根のやつ、笑いの百人斬り目指してんねん」

「それはすごいね。私も聞いてみたいな」

「えっ?千紗さん、お笑い好きなん?」

「好きだよ。」

「意外や」

「失礼なことをしつれ、……なんちゃって」

「………。」

「……そんな目で見ないで」

「いや、天根のダジャレに嫉妬しそうな自分が居って怖いわ」

まあ千紗さんの相方は譲らんけどな、と言う忍足くんに笑った。先程疲れていたのが嘘のようだ。

ダビデくん、ありがとう。


END

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